全日本弦楽コンクール

小学生低学年部門
遠藤旭依さん

遠藤旭依さんは、文京区立駒本小学校1年生。落ち着いた演奏を見せた本選での様子とはうってかわって、自宅からのオンラインインタビューでは、お気に入りの髪飾りや指輪をつけ、ときおり無邪気な表情を見せながら、お母様と一緒に答えてくれました。

遠藤旭依さん

本選の大きなホールのステージでの演奏は、響きもよくて「すごくワクワクした」と旭依さん。最後まで弾けずにベルが鳴ってしまったことには「これから楽しみなところがくるのに……」と残念な気持ちになりましたが、金賞を取ることができて「すごくうれしくてたまらなくて、おもしろかったり楽しかったり、いろいろな気持ちになった」と振り返ります。審査員からは、1年生にしては難しい曲を弾いたことと、その表現力が高く評価されました。

「ステージに立つのは、緊張しないし、楽しい」と話す旭依さんは、5歳のころからいろいろなコンクールや演奏会に出演し、1〜2か月のペースでステージに立ってきました。そのたびに、新しい曲にチャレンジしています。「おなじ曲をずっと練習していると飽きちゃうから、新しい曲を弾けると楽しい」。そうしてコンスタントに持ち曲を増やしてきました。
先生から曲をもらうと、嬉しくて、自分なりに楽譜をひととおり弾いてから先生に指導してもらいます。とても熱心で面白い先生なので、旭依さんはレッスンに行くのが大好きです。レッスンがない日は自宅で練習をします。遊びたくなってしまうこともありますが、頑張って1日2時間以上は練習しています。朝は6時から7時の間には必ず起きて、登校する前にも少し練習。週末や休日は、平日より長く練習の時間をとっています。

お教室の先輩たちと

子どものころにピアノを習っていたこともあり、音楽が好きだというお母さん。旭依さんは、そんなお母さんのお腹の中にいるときからピアノ曲を中心にクラシック音楽を聴いていました。生まれてからは、泣いていても音楽を聴かせれば泣きやんだと言います。少し大きくなると、幼児でも鑑賞できる演奏会やコンサートへ。一緒に歌ったり踊ったりして音楽に親しむ旭依さんを見て、旭依さんが音楽に触れられる環境を意識的につくってきました。

ヴァイオリンをはじめたのは、3歳半のとき。旭依さん自身が「ヴァイオリンをやりたい」と言い出したことがきっかけでした。まだ幼いのに、何度聞いても「やりたい」と強い意志を見せたことにはお母さんも不思議に思いましたが、習わせることに決めました。
はじめて4年ほど。ヴァイオリンを弾くと楽しい気分になるのはずっと変わりません。自分で自由に弾くのが好きなので、「練習の時にときどきふざけたりして、怒られて泣いちゃうこともあるけど、でもやっぱり楽しいから続けてる」と旭依さん。お母さんも「これまで一度も、やめたいと言ったことはありません」。怒られても泣いても、途中で練習を投げ出すことはないと言います。

ヴァイオリン以外は、学校に行くのが好きで「給食がすっごーく楽しみで、いつも大盛りしてる」(笑)。献立表をチェックするのが、旭依さんの日課です。最近は、週末に家族みんなの朝ごはんを作っています。牛乳をレンジで温めたり、パンをトースターで焼いたり、目玉焼きを焼いたり。それに、工作したり絵を描いたりするのも好きです。もちろん遊ぶことも。たくさんの仲良しのお友だちがいます。「お友だちと遊ぶのもヴァイオリンを弾くのもどっちも楽しいから、ちょっとくらいいいやって思って遊んで、帰ったら続きの練習をやる」。旭依さんなりに、自分で考えて行動しています。

好奇心旺盛な7歳

そんな旭依さんのことを、「やるときはやる。ちゃんとやるときは、褒めてあげたいくらい上手にやる。でも、いまはまだちゃんとやれるときがそんなに多くないから(笑)。遊びが大好きで、わんぱくな性格。もう少し大きくなったら、少し落ち着くかな」とお母さん。「自分でやりたいと言ってはじめたことだし、本人がやりたければずっと支えてあげたい」と見守っています。

ヴァイオリンも遊びも大好き

5歳からはヴァイオリンと並行してピアノも習っています。ゆるくでも続けた方がいいという考えから、趣味の一つとして、楽しむことを一番に、隔週のペースでゆったりレッスンを受けています。
でもやっぱり、旭依さんにはヴァイオリンの方が合っているようです。「弾くときのテンションが違う」とお母さん。旭依さんはそんなヴァイオリンを、「音も好きだし、いろいろな曲を弾けるし、心で思ったことを出せるところ」が魅力だと感じています。

将来の夢は、ヴァイオリニストです。好きな音楽家は、モーツァルトとパガニーニ。憧れは、ダヴィッド・オイストラフとイツァーク・パールマン、そしてアンネ・ソフィ・ムター。 こうしたヴァイオリニストたちのように、国際的な舞台で活躍できるようになりたいと考えています。そして何より、大好きなヴァイオリンを「ずーっとずーっと弾いていたい。80歳とか90歳くらいまで続けたい」。

ずーっと弾いていたい

画面越しのインタビューでしたが、豊かな表情がとても印象的でした。そして、7歳らしくたどたどしさはあるものの、お母様に頼ったり全てを任せたりすることなく、一生懸命に自分自身で答えようとする姿はとても頼もしかったです。最後に「また演奏聴かせてくださいね」と言うと「はい!!!」と元気に答えてくれた旭依さん。たくさん食べてたくさん遊んで、ずっとずっと元気に、素敵なヴァイオリンの音を響かせてくださいね。

※文中の学年・年齢は、エントリー時のものです。
※インタビューは3月上旬に行いました。

本選での遠藤旭依さんの演奏はこちら