小学校低学年の部で優勝した安達心春(あだち・こはる)さんは現在小学3年生です。3歳10か月からヴァイオリンを始め、第8回日本ジュニアヴァイオリンコンクールにて第1位受賞。第15回イタリアコンソルソムジカアルテにてグランプレミオ大賞・グランプレミオスペチャーレ(特別優秀大賞)を受賞。第44回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール全国大会にて第1位受賞。第3回グランディール音楽コンクールにて全国大会金賞受賞と輝かしい受賞歴があります。そんな安達さんとお母様に、今回の受賞についてインタビューさせてもらいました。
安達さんは、7歳(小学2年生)の時、『題名のない音楽会』の「夢響」企画にて東京シティフィルハーモニック管弦楽団の皆様と初めてのオーケストラとの共演。その後、第2回世田谷音楽コンクールにて金賞受賞。第33回日本クラシック音楽コンクール全国大会にて第2位受賞。今回の2024年度全日本弦楽コンクール全国大会にて金賞を受賞しました。素顔はとっても明るい安達さんですが、ヴァイオリンの演奏では人格が変わったかと思うほど真剣です。
今回応募理由となったオーケストラとオペラシティにて共演
「私は昨年の夏に、東京オペラシティにて、東京シティフィルハーモニック管弦楽団の皆様と初めてオーケストラの共演の夢を叶えました。東京オペラシティはそんな思いの詰まった場所です。今回のコンクールでは受賞コンサートを東京オペラシティでできると知り、自分の力で最高の形でこの場所に戻ってきて演奏したいという強い気持ちで、コンクールに参加させていただきました。結果に恥じぬよう、受賞コンサートの舞台で、心のこもった演奏をしたいと頑張っています!」と大きな瞳をキラキラさせて語りました。
お母様も、「このコンクールが作られた理由について貴協会の代表の高木様のお嬢様がピアノを習っておられ、コロナ禍にて演奏する機会が奪われた子供達に演奏する場所を提供したいとはじめられたとのエピソードを拝見し、本当に素晴らしいと感じ、娘も、そんな思いで作られた素敵なコンクールに参加できるなんて嬉しいと目を輝かせていました。誰かを思い行動できる事は本当に素晴らしく、コンクールを通し娘もまた、誰かを思い演奏で伝え届けてくれるような演奏家になってくれることを願っています」と話してくれました。
弦楽コンクール全国大会と賞状が届いた時
安達さんは、「私はヴァイオリンを家族だと思っています。今使っているのはリボンおばあちゃん(楽器の名前)です。ヴァイオリンは楽器の分数替えから私のもとに来てくれた4代目の楽器です。1つとして同じものがなく、その人のもとに来たり、出会えたりするのにもきっと運命があると私は思っています。私のもとにきてくれた楽器を、最高の音で私が歌わせてあげたいと思っていて、それを楽器も分かってくれて歌ってくれている気がして、通じ合える事が大好きです。鏡にも似ているので、自分の心を映し出してくれるような気もします」。名前を付けた理由は、ヴァイオリンの先端、一番後ろ部分がリボンにみえたことから。今の楽器は1890年生まれと古いので、おばあちゃんと付けたとうれしそうに語ります。
リボンおばあちゃんを初めて持った時(まだ大きかったです)
前の1/4のリボンちゃんとのお別れに一緒にこれまで取ってきた賞状や
トロフィーたちとともにお手紙を送った時
安達さんは、「1日の時間がもう少したくさんあればと思います。学校がある日は特に、練習時間が足りないと思うことが多くなり、たくさん練習できる時間と場所が欲しいと思い悲しくなることがあります」。本当にヴァイオリンの演奏が好きなのですね。
今回演奏したスペイン交響曲、絵本などを見ながら作曲家さんの街をイメージしながら練習したそうです。安達さんは好奇心が強いので、演奏する曲についてもいろいろ調べてイメージするようにしています。曲を理解しようとしているのが評価されたのかもしれません」とお母様もお話していました。
ふだんの練習は、家の中に小さな簡易防音室を作ってもらって練習に励んでいます。冷暖房が入らないので夏は氷枕を背中につけて、冬はカイロを体にたくさん貼り付けて練習しているそうです。お休みの日は6~7時間練習するそうです。それでも練習時間が長くなると辛くなるので、長期休みや休日は区の練習施設をお借りして練習させてもらっています。
防音室での練習風景。背中の氷で涼を取ります
将来の夢や今後の目標をたずねると、「たくさんの夢や目標があります。小さい夢から大きい夢までたくさんです。コンクールや演奏会、ヴァイオリンを通して出会えたたくさんの方々に、努力して音楽で恩返ししていきたいです。大きな目標は、海外のコンクールに出てみたいと思っています」。
ヴァイオリンが大好きで、長時間の練習も苦にならないという安達さん。このまま夢をかなえていって、将来は名のある演奏家になってほしいですね。
※文中の学年・年齢は、エントリー時のものです。
※インタビューは8月に行いました。
全国大会での安達さんの演奏はこちら。