一般:U30の部で優勝した小守林英希(こもりばやし・えいき)さんは、今早稲田大学先進理工学部の4年生です。ピアノを約13年、チェロは約10年習っています。ピアノは3~4歳くらいから、中学高校生の間は、カトリックの学校だったのでオルガンを習っていました。チェロは、中1で体験入部の時、チェロ奏者の先輩がとてもかっこよく、演奏する音色も輝いて聞こえて、吹奏楽部に入り、チェロを選んだといいます。そんなチェロ大好きな小守林さんに今回の優勝の感想や将来の夢などお聞きしました。
今回のコンクールの応募理由を伺ったところ、「一度、時間が取れるうちにコンクールに出てみたかった。友人、特にピアノサークルの友人にコンクールの出場経験のある人が多く、憧れがありました。大学では、弦楽合奏、ピアノ、交響楽団の3つに入っています」と答えてくれました。
1位になれるとは思っていなかったので驚きました。採点票が送られるまで、何かの間違いだろうと思い込んで、信じられなかったという小守林さん。今回の審査員からの講評で、チェロで歌っているのがよい。伴奏者との対話がある演奏がよいとあったのがうれしかったですと語ります。授業で学校に行く日も、空き時間は学生会館に行って練習をしていました。
中学、高校の間は、弦楽合奏の部活にチェロ経験者が多かったこともあり、家でチェロを練習することは定期演奏会の前等を除き、殆どありませんでした。
大学に入って、フルオーケストラに所属したことで、そこで様々な先輩、先生から教えをこえたこと、気にかけていただいたことが僕にとって良い方向に働いたと感じます。特にこのオケでは週に1回先輩に一対一で教わる機会があり、そこで尊敬する先輩方の弾き方を指導頂く機会があり、その期待に応えたいと思えたこと、第二に、室内楽演奏会で楽器が上手な友人達と合奏をするために自分も上達したいと強く思えたことが、練習の大きなモチベーションでしたと語ってくれました。
今は研究室での活動が主なので、なるべく研究室に行った日にやらなければならないことをまとめて行い、チェロを弾ける時間を作るようにしていると話します。ご両親も分野は違いますが、音楽にかかわっているという音楽一家で自然と音楽に親しんでいたようです。
オーケストラの中で
今は学生で、授業との両立も大変ですが演奏が楽しいのと友だちができるのも楽しい。ほかの楽器を演奏する友だちからのよい影響もあり、自分の演奏も意欲的になると語ります。ソロもよいけれど、他の人との合奏がとても好き。ほかの人の演奏レベルに見合うだけの力をつけないとと意欲的に練習しているそうです。
そんな小守林さんに、チェロの魅力を伺いました。「人間の音域に近い。高音の繊細な音が好き。音以外の骨とう品的価値も魅力で、百年前に丹精込めて作った楽器を今まで演奏していた方への思いを受け止めて演奏するようにしています。弾けば弾くほど音色がよくなるところも好きです。人間の声域に近いだけあって温かい雰囲気があるのが好きで、中でも特に高音の繊細な音が好きです」と嬉しそうに語ってくれました。

ピアノトリオでの演奏
そんな小守林さんにも辛いときはあったと言います。「今もそうですが、いつまで経っても音程が正しく当たらないことは辛いと感じることもあります。また、試験前など、やらねばならないことに手一杯で、やむを得ず暫くチェロに触れないでいると、歴然と下手になっていることがしばしばあり、その度に趣味との向き合い方を考えさせられて辛くなることがありました。でも、正しい音程が引けたときにはより一層強い喜びで、合奏しているときにちゃんとした音程ではもれると楽しいです」と語る小守林さんは、本当にチェロが好きなんですね。

ヨーロッパ遠征で
「今年から結婚式で演奏をするバイトを最近はじめて、それがモチベーションとなっています。自分の大好きなチェロを使って、他人の人生における大変重要なイベントの空間に貢献できるというのは、責任もあるが凄く幸せなことだと感じています。一方で、より美しい音色でお祝いをしたいという思いが増すので、練習をして自分が納得できるような音を出すことが当面の目標です」と真摯に応えてくれました。
将来は大学院に進んで研究者をめざすことを考えています。迷っている部分が殆どですが、何か音楽と脳に関わる研究ができたらよいと考えています。今の生命医科学科での研究で、モデルマウスを使って、パーキンソン病や認知症の人たちへの治療に役に立つような神経と音楽とつながる研究をやりたいですね」。
結婚式でのバイトや音楽につながっている研究をしたいという小守林さんは、その人柄の良さと真面目になんにでも取り組む姿勢が伝わってきました。将来思いがかなうことを祈ります。
※文中の学年・年齢は、エントリー時のものです。
※インタビューは8月に行いました。
全国大会での小守林さんの演奏はこちら。



