全日本弦楽コンクール

一般プロ:U55の部・島田幸さん

一般プロ:U55の部で優勝したのは、島田幸(しまだ・こう)さんです。5歳よりピアノを始め、10歳の時に担任教諭の勧めによりチェロに出合った島田さんには輝かしい音楽歴があります。東京音楽大学を卒業し、現在は金融の仕事をしながら、さまざまな音楽活動を行っています。そんな島田さんに、受賞の喜びやさまざまな音楽活動についてお聞きしました。

島田さんは、中学2年の夏、シドニーで開催された音楽祭に参加し、オペラハウスで演奏をしたことがきっかけで、海外の同年代の人たちと音楽を通した触れ合いが深く心に響き、プロのチェリストを目指すようになりました。東京音楽大学では、いしかわミュージックアカデミーでダヴィッド・ゲリンガス氏、ジャン・ワン氏のマスタークラスを受講。これまでに東宝ミュージカル「レ・ミゼラブル」や、久石譲監督作品の映画「カルテット」、世界的ピアニストのスティーブ・バラカットのワールドツアーに出演。好評を得ています。現在、独奏やアンサンブル、オーケストラを中心に活動しており、2014年より香川紀恵氏のヴォーカルグループ「Aurora」に参加し、国内外で演奏。2019年のシンガポール公演は大成功を納めています。

プロを志すきっかけになったシドニーのオペラハウスでの演奏会

プロを志すきっかけになったシドニーのオペラハウスでの演奏会

東京交響楽団でのベートーヴェン第九

東京交響楽団でのベートーヴェン第九

今回の優勝は、とてもうれしく、普段から応援してくださるお客様や友人達に感謝で一杯の気持ちですと目を輝かせながら語ってくれました。

島田さんは、20代半ばで経済的な理由で音楽業界からいったん身を引きました。実質5年ほどチェロケースを開けることができない期間がありましたが、音楽への情熱が枯れることはなく、今回の全日本弦楽コンクールはプロの中でも幅広い年代でコンクールへ挑戦できることを知り、出場を決めたとのことです。島田さんは、20代半ばで経済的な理由で音楽業界からいったん身を引きました。実質5年ほどチェロケースを開けることができない期間がありましたが、音楽への情熱が枯れることはなく、今回の全日本弦楽コンクールはプロの中でも幅広い年代でコンクールへ挑戦できることを知り、出場を決めたとのことです。

幼少期にはピアノを習っていた島田さんですが、好きな野球やサッカーなどの外遊びが楽しくピアノのレッスンに足が遠のいていました。

そんな時に小学生の時の恩師がチェロを勧めてくれたそうです。弦楽器に触れることも初めての島田さんにとってこれが大当たり。すぐにチェロにはまり夢中になって練習。

中学生の時にシドニーオペラハウスで海外の同年代の仲間と演奏することで、プロのチェリストをめざすようになったと言います。

 

 

高校時代の演奏会

高校時代の演奏会

大学時代のカルテットメンバー

大学時代のカルテットメンバー

その後、やむなく離れてしまった演奏家の道でしたが、再びプロでやっていきたいと思い始めたのが40歳のころ。

チェロに向き合いたい。将来死ぬまでやっていきたいと思い審査員をしていた友人に相談したところ、今回のコンクールを受けることにしました。

現在は、音楽歴と重なりますが、独奏やアンサンブル、オーケストラを中心に活動しています。2014年からは香川紀恵氏のヴォーカルグループ「Aurora」に参加し、毎年国内外で演奏をしています。さまざまなオーケストラの客演首席奏者をさせていただく、コンチェルトを共演するなどの演奏活動を行っている島田さん。仕事の関係で、練習時間を長く確保するのが難しい時もありますが、毎日必ず基礎練習、エチュード、ソロ曲、室内楽やオーケストラの曲を練習するようにしています。再びプロとして活動し始めてからは、日々学生時代と同じように、7~8時間練習しています。

チェロの魅力を一言で言うと音色が持つ、「温かみ」と「豊かさ」を表現できるところという島田さん。チェロは音域が広いため、低音域では深く力強い響きを、高音域では歌うような感情的なメロディーを再現できるので、とても好きです。その音色の魅力に取りつかれました。頭の中で描いているイメージが楽器に伝わって、人生経験も音にのってきます。人生の旅のようなものです。自分の思いを正直にすべて楽器にぶつけることができる。楽器がそれを表現してくれると思っています。

現在は、さまざまなオーケストラの客演首席奏者を依頼されたり、チェロコンチェルトを共演するなどの演奏活動を行っている島田さん。金融機関での仕事もあり、練習時間を長く確保するのが難しい時もありますが、再びプロとして活動し始めてからは、学生の頃と同じように毎日基礎練習、エチュード、ソロ曲、室内楽やオーケストラの曲を練習するようにしています。

一度は音楽業界から離れた事で失うものもありましたが、逆に得るものもたくさんあったという島田さん。別の業界で培った経験や、そこで出会った多くのお客様や、学生時代からの友人達が応援してくれています。

まだまだ勉強の日々ですが、さらに研鑽を積むために海外で演奏する準備をしています。夢は、まだ欧米ほどクラシックが盛んでない国々にいる才能豊かな原石を見つけ指導すること。

音楽活動はJICAの事業や国境なき医師団のように海外の人たちを支援することができると思っています。自分自身が積極的に海外の演奏家達やオーケストラと共演したりすることで、子どもたちに音楽とチェロを根付かせたいと思っていますと語ってくれました。

世界に音楽を根付かせようというすてきな夢を持つ島田さん、これからもチェロの演奏家として、さまざまなところで活躍してほしいです。

 

全国大会での島田さんの演奏はこちら