全日本弦楽コンクール

高校生・福水万里子さん

今回の弦楽コンクールバイオリン高校生の部で優勝した福水万里子(ふくみず・まりこ)さんは、東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校3年に在学中。2人の兄同様、バイオリンの授業のある幼稚園で個人レッスンを受けていたという福水さん。大好きなバイオリンの毎日の練習の成果となる今回の優勝を勝ち取った喜びの気持ちを伺いました。

幼稚園でのヴァイオリン発表会

福水さんは、3歳よりバイオリンを始め、第13回国際ジュニア音楽コンクールE部門第1位。第76回 全日本学生音楽コンクール東京大会入選、第2回全日本弦楽コンクール高校生部門第2位。第46回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール 高校2年生部門 第2位。

第2・3回ザハール・ブロンマスタークラスin宗次ホールにおいてブロン氏のマスタークラスを受講。2024年7月からはアメリカ・ボストンのニューイングランド音楽院にて行われたMorningside Music Bridge 2024に参加。という輝かしい音楽歴を持ち、現在、野口千代光氏、尾池亜美氏、西江辰郎氏に師事しています。

中学生から師事している恩師、西江辰郎先生と発表会で

「幼稚園でレッスンを受けていた思い出はあります。物心ついたころから弾いていました。小さいころの記憶は、楽しかったなと思っていました」という福水さん。「最初にコンクールに出たのが小5でした。ほかの人と比べたらコンクールデビューは遅くて、めちゃくちゃ緊張しましたという福水さん。週に1回はあったというヴァイオリンレッスンの先生は、厳しい人だったと言います。

小4から中3までは、地元のジュニアオーケストラで、今は学校でオーケストラの授業があります。ソロも楽しいですが、オーケストラの中でみんなの音を聞きながら弾いていることが楽しいと話します。7月から1か月間ニューイングランド音楽院にて行われたMorningside Music Bridge 2024に参加し、つい最近帰国した福水さん。オーディションに合格し、日本人では福水さん1人が参加資格を得ました。「大学の寮に泊まり、ネイティブの中で過ごし、英語スキルも少しつきました。温かい空気感の中、演奏スキルも培えた」と笑顔で答えてくれました。

今回のコンクールに参加した理由は、「予選、ブロック大会、全国大会と3つの曲を演奏することができ、審査員の先生方も素晴らしかったからです。優勝を聞いたとき、もちろんうれしかったですが、個人的には演奏には満足していないので受賞は驚きました」と。「演奏した曲の第2楽章では、メロディックな部分とリズム的な兼ね備えている曲。メロディックな部分をしっかりうたえたのかなと。審査員からは、『音色が素晴らしい』という評価をいただき、うれしかったです」と、キラキラとした笑顔で話してくれたのが印象的でした。

「今使用しているバイオリンは、自分の演奏のイメージを素直に反映してくれます。今回の受賞はバイオリンにも助けられたのかもしれません」と、運を手繰り寄せているという福水さんは、「バイオリンに恵まれ、アメリカに行く機会にも恵まれ、先生にも恵まれている」と話します。そんな素直な性格がきっと運を運んでくるのでしょう。

ふだんは、「アップテンポな感情に訴える強めのアプローチのできる曲が向いていると先生からもいわれています。でも、穏やかで静かな曲も弾けるようにしたい」と前向きに練習しています。

「本番で思ったように弾けないことがとても多いのも辛いです。ふだんの基礎練習がとても大切で、生活の中に練習が組み込まれているから自然とやっている」という福水さんですが、「夕方帰宅して6時から練習がルーティン化されている」といいます。練習しないと気持ち悪いというように、平日最低2~3時間は練習することを心がけています。

「バイオリンは、華がある楽器で、メロディックな旋律を任される。音色がきれいで弾いていて楽しい。旋律と支える役割もできるのが強みで、その美しいフォルムにも惹かれます」とバイオリンの魅力を語ってくれました。

将来は、オーケストラに入りバイオリン奏者になりたいという福水さん。コンクールでの受賞をめざす後輩へのアドバイスをお聴きすると、「練習はコツコツとしたほうがいい。積み重ねが大事です。それと、音楽以外のことにも目を向けて、友だちと遊んだり、読書をしたりすることも大事だと思います。あと勉強も(笑)」とアドバイスをいただきました。

ボストンのニューイングランド音楽院で行われているモーニングサイド・ミュージック・ブリッジでのオーケストラコンサート。毎年世界中から若手演奏家が集まる国際的セミナー。

「今後も経験を積み重ねて、良い演奏をどの本番でもできるようになりたいです。今高3なので受験があり、練習も勉強もしなくてはいけない。練習と勉強の両立が大変です。これからは受験勉強も並行してがんばらなくては」とはにかみながらも力強く答えてくれました。

※文中の学年・年齢は、エントリー時のものです。
※インタビューは8月に行いました。

全国大会での福水さんの演奏はこちら