全日本弦楽コンクール

大学・院生の部・松本渓祐さん

大学・院生の部で優勝した松本渓祐(まつもと・けいすけ)さんは、東京芸術大学音楽学部器楽科に在学中です。12歳よりコントラバスを始め、これまでに時津りか、吉浦勝喜、池松宏、石川滋の各氏に師事。現在は吉田秀氏に師事しています。今回の受賞に込めた思い、将来の夢などをお伺いしました。

松本さんは、下記のように輝かしい音楽歴を誇ります。

第60回北九州芸術祭クラシックコンクール一般の部弦楽器部門部門賞。2024年度全日本。弦楽コンクール大学生・院生部門全国大会第1位。第6回泉の森コントラバスコンクール第2位(最高位)。日本演奏家連盟新進演奏家育成プロジェクト・オーケストラシリーズ第73回福岡のオーディションに合格。大学1年次にソリストとして、飯森範親指揮九州交響楽団とヴァンハル作曲コントラバス協奏曲を共演。篠崎史紀楽興の時室内楽セミナー&演奏会のオーディションに合格。

松本さんが記憶に残っているコンクールや参加のエピソードをお聞きしました。

九州交響楽団との共演は、たくさん練習を積んで参加しました。福岡県のプロオーケストラと言えば九州交響楽団という著明なところで、ソリスト募集のオーディションで出演したのですが、初めてのオーケストラバックで最初の音あわせは緊張していて、ミスも多かったと言います。

コントラバスを選んだきっかけについてもお聴きしました。もともと9歳のころからチェロを始めましたが、中学1年生のときに吹奏楽部に入部。演奏の仕組みも同じコントラバスに移行したそうです。初めて弾いた時、思ったより弾けるなと感じたそうです。チェロは1人で弾いていたので、吹奏楽部の中で周りと合わせる楽しさがあったといいます。

今回のコンクールに参加した理由は、コントラバスでソロを弾く機会が少ないので、このようなコンクールで場数を踏みたかったからだそうです。

今回の受賞を知った時は別の本番の準備に忙しく、あまり覚えていないと言います。一位だったのかとあとからうれしい気持ちがこみあげたそうです。受賞したことで以前より自分の演奏に自信がついた気がしますと笑顔で話してくれました。

今回の演奏のよかったところは、そもそも本番に臨んだとき練習をつきつめたのもあり、リラックスして、全体に雰囲気がよかった。ミスもあったのですが人を感動させる演奏ができたと思うと言います。

ふだんはゆとりをもって練習しています。音楽は楽しいものと思っているので、楽しくなくなるまで練習するのはどうかなと思うと楽しんで演奏することにこだわる松本さんです。

大学での授業の話も聞きました。「2~4年生合同でのオーケストラで演奏する授業があります。演奏を先輩や先生に聞いてもらうので技術も高まります。周りと音をそろえる、溶け込みやすい音を出すことに注意して練習しています。2年生のときは上手に演奏できず、まわりに迷惑をかけることもありました。授業で初めて弾いた時は、コントラバスの教授がいて、音が小さい、曲の勉強が足りない、姿勢が悪いなど、ダメ出しをいただきました。でも先生に見てもらうのはありがたく、次に生かすことができます」。

楽器の好きなところは大きいところという西川さん。チェロをやっていたからこそ、コントラバスが大きいという感覚があり、目立って大きいのもすばらしいと思うといいます。演奏しているときはひたすら楽しい。引きすぎて指が痛いなどのつらさはありますが、演奏の楽しさの方が大きいと笑顔で語ってくれました。

本番直前の合わせの時

今後の展望はいろいろ考えているという松本さん。どうしてもオーケストラに入りたいという気持ちはそこまで強くはないけれど、仕事の合間などに演奏して楽しみたいと思っているとのことです。でも、オーケストラやソロ演奏家として、音楽で食べていけるようになったらとてもうれしいと話します。ほかの選択肢も頭に入れて、音楽以外のスキル例えば語学スキル、英語、中国語などができると将来の夢も広がります。

演奏家としてコンクールにチャレンジしようとしている後輩たちに、「音楽以外のことも大事にしたほうがいい。いろんな体験をすることで音楽にも良い影響がある」と話す松本さん、生涯音楽を楽しみながら、充実した人生を歩んでほしいですね。

全国大会での松本さんの演奏はこちら