全日本弦楽コンクール

中学生・渡邉伶音さん

中学生の部は、チェロを演奏した渡邉伶音(わたなべ・れおん)さんが最優秀賞に輝きました世田谷区立芦花中学校に通う3年生です(エントリー時は2年生)現在は、チェロ中心の生活という伶音さん。貴重な練習時間の合間に、お話を聞かせてくれました。

渡邉伶音さん

安定したテクニックや音色の豊かさ、そして大人のようなダイナミックな演奏が、審査員から評価された伶音さん。この春に中学3年生になったばかりで、身長は180㎝ほど。ステージでチェロを弾く様子は堂々としていて、ひときわ光っていました。でも伶音さん自身は、「楽しく演奏することはできたけれど、すごく満足のいくものではなかった」と全国大会を振り返ります。最優秀賞という結果には、「びっくりしました。とても光栄です」。

全国大会の会場にて

これまで数々のコンクールで優勝や入賞など、輝かしい結果を残してきた伶音さんですが、こうしてコンクールにチャレンジするのは、「舞台での演奏が学びになる」と考えているからです。「どれだけ部屋で練習を重ねても、いざステージに立って人前で弾くというのは、かなり状況が違います。だから、集中力と緊張感を保ちながら、どこまでいい演奏ができるかチャレンジさせていただけるありがたい機会だと感じています」。毎回、堂々と演奏することを意識してステージに立っています。

舞台での演奏は学び

 伶音さんの両親は、プロの音楽家です。お父さんはヴィオラ奏者、お母さんはヴァイオリン奏者として、それぞれオーケストラに所属し活躍しています。幼いころから弦楽器が身近にあった伶音さん。楽器を始めることになったのは自然な流れでしたが、最初ヴァイオリンを弾いてみたところ、「楽器を壊さんばかりの勢いで弾いたみたいで(笑)」。小さいころから比較的身体が大きかったため、お父さんお母さんの考えや助言もあり、チェロを習うことにしました。5歳のときです。

そのころのことはあまり覚えていないという伶音さんですが、「チェロは左の親指も使うのですが、最初は弦を押さえることも難しく、水ぶくれになって痛くて辛かった」と言います。でも当初から「チェロは、自分のいいところを発揮できるので楽しかった。もちろんレッスンは厳しかったけれど、のびのびとやらせてもらえたし、自由に表現できたから」と伶音さん。「チェロの音がとても好き。いろんな曲があって、いろんな表現ができるところが好き。言語より、音による表現のほうが自分は好きです」。

チェロは自分のよさを発揮できる

チェロを始めて9年。中学卒業後は音高への進学を考え、いま準備をしているところです。普段の練習は、朝と夜にこなしています。「夜は、特にしっかり練習します」。部活やほかの習いごとはせず、いまはチェロ一本の生活にしています。

伶音さんが、音楽の道に進むことを明確に意識したのは、10歳のとき。小学校4年生のときに学校で「二分の一成人式」が行われました。体育館の舞台に立って、同級生の前で将来の夢についてスピーチをしたのです。このときに「チェリストになる」という夢と自分の気持ちを、はっきり自覚したと言います。それ以来、音楽家になることへの想いは、揺らぐことなく続いています。

今後、高校か大学の在学中に留学も考えています。行き先は、ヨーロッパ。「目標は、世界の一流のオーケストラに入団して活躍すること」と伶音さん。その視線の先は、海外にあります。目指すのは、「魅力あるチェリスト、魅力ある人間。たとえば、チェリストだったらヨーヨーマ。指揮者だったら小澤征爾さん。歌手だったらパヴァロッティ。皆、音楽家としてだけではなく、人間的にも魅力を感じる人たち。彼らのような存在になりたいです」。

NYカーネギーホール小ホールにて

伶音さんは、目標や理想をとても高く設定しています。「まだまだ上に行きたいと思っているから、いまはその道のりの2割くらいのところ。作品を通して、さまざまな感情や作曲家の思いを伝えたい。そして、自分の演奏でお客さんが喜んでくれたら、何より嬉しいです」。

魅力あるチェリスト目指して世界へ

 

伶音さんのお話ぶりから、音楽への情熱は伝わってくるものの、それはとても純粋で穏やかなものに感じられました。きっと伶音さんに合った環境で、のびのびと音楽に触れているからなのだと思います。目指す場所まで、まだ2割程度。どんな魅力あふれるチェリストとして、わたしたちに音楽を届けてくれるのでしょうか。期待をこめて、これからの伶音さんの活躍に注目したいです。

※文中の学年・年齢は、エントリー時のものです。
※インタビューは6月下旬に行いました。

全国大会での渡邉伶音さんの演奏はこちら