全日本弦楽コンクール

小学生低学年・廣澤杏那さん

廣澤杏那(ひろさわ・あんな)さんは現在、Global Indian International School に通う 3 年生です。今回は、小学生低学年の部で最優秀賞に輝きました。3 歳のおわりのころから始めたヴァイオリンで、現在までにいくつものコンクールで優勝や入賞を果たしています。お母さまと一緒に、インタビューに答えてくれました。

廣澤杏那さん

「コンクールに出るのは、ステージで演奏することが大好きだからです」と杏那さん。「はじめはすごく恥ずかしいけれど、うまく弾けたときには嬉しい気持ちになります」。全国大会で演奏した曲は、ブルッフ作曲「スコットランド幻想曲 Op.46 第4楽章」。前半はテンポが速く難しいフレーズが多く、中盤は、ゆったりと歌うようなメロディになります。お母さん曰く「本人はゆったりした曲が好きだし、得意」という杏那さんにとって、演奏の終盤がいちばん好きな部分でしたが、途中でベルが鳴ってしまいました。杏那さんは、「もっと弾きたいなあと思いました。でも、ステージで演奏したことは、すごく楽しかったです」と振り返ります。

「コンクールでは、審査員の先生方からの講評も勉強になります」。今回は、どの審査員からも「素晴らしい」「完璧」「美しい」「ブラボー!」といったメッセージが並ぶ高評価でした。「普段のレッスンとはまた違うことを指摘されることもあり、気づきも多いです」とお母さんは言います。

はじめてのサントリーホール

杏那さんのおうちでは、よくクラシック音楽が流れています。「いい音楽のイメージをもたせることを大切にしているから」です。お父さんはピアノ、お母さんはオーボエが、それぞれ⻑年の趣味。楽器を弾くことはもちろん、クラシックを聴くこともとても好きです。杏那さんにも何か楽器を、と考えたときに、持ち運びのしやすいヴァイオリンが候補に挙がりました。当時は、お父さんの仕事の都合で転勤の可能性があったためです。お父さんもお母さんもヴァイオリンはまったく弾いたことがありませんでしたが、お友だちが通うお教室に見学に行くと、先生がとても優しくて、合奏が楽しかったことから、習い始めることにしました。

ヴァイオリンできれいに音を出すのは、そんなに簡単なことではありません。「はじめは、どんな音がきれいな音なのか、わからなかった」と杏那さん。最初に通ったスズキ・メソードの先生は、なによりまず音楽と楽器の楽しさを教えてくれました。その後、転居に伴いこれまで 3 人の先生から指導を受けてきましたが「レッスンに行くのは、毎週楽しみです」。普段は、学校が終わって帰宅すると、まず宿題をしてから 4 時間ほど練習します。休みの日はもう少し⻑く練習しますが、ときどきはお友だちと遊ぶ時間も取っているので、平日も休日も練習を頑張ることができると言います。

愛犬ソフィともなかよし

そんな杏那さんにとってのヴァイオリンの魅力は、「嬉しい音、悲しい音など、いろいろなきれいな音が出るところ」。ヴィエニャフスキの作品や、バロック・古典好きのお父さんの影響もあって、バッハやモーツァルトの作品も好きです。杏那さんはヴァイオリン以外にも、幼稚園の年⻑のころからジャズダンスを、1年ほど前からはピアノを習っています。「どの習いごともすごく楽しい。クラシックも好きだけど、ポップな曲も大好き。音楽を聴くとすぐに踊りだします」。

ステージで演奏することが好きな杏那さんですが、なかでも印象に残っているのは、「お教室の発表会で、バッハの『2つのヴァイオリンのための協奏曲』を演奏したとき。第1、2楽章は先輩のお姉さんお兄さんと、第3楽章は先生と一緒に弾いて、とても楽しかったです」。いまの目標のひとつは、オーケストラと一緒に弾くこと。「音がよく響く大きなホールで、お客さんから拍手をもらうのが夢」と話します。

初出場のコンクールで全国大会へ

将来は、「ヴァイオリニストになりたい」と杏那さん。なにより、音楽が楽しいからです。いろんな国でコンサートをしたいと考えています。一方で、「料理も大好きなので、世界中の食べものを勉強して、シェフにもなりたい」。休日にはお母さんと一緒に、パスタやパン、クッキーやプリンなどのお菓子づくりも楽しんでいます。

音楽と料理、どちらも大好き

そしていずれ「フランス料理がすごく美味しくて好きなので、フランス料理を作れるようになりたい」と杏那さん。まずは、フランスに住んでいるいとこに会うため、初めてフランスに行くことも、いま楽しみにしていることのひとつです。学校の選択科目で、フランス語の勉強も頑張っています。杏那さんの未来は、職業の枠も国境も超えて、大きく広がっています。

 

ときどき元気いっぱいの弟さんとソフィちゃんも加わって、にぎやかなインタビューでした。ステージでは、胸をはって堂々と演奏する姿が印象的だった杏那さん。お話ぶりは静かで落ち着いていましたが、将来の夢も明確に描いていて、頼もしささえ感じました。ヴァイオリニストとシェフの二刀流、実現する日が楽しみですね。

※文中の学年・年齢は、エントリー時のものです。
※インタビューは6月中旬に行いました。

全国大会での廣澤杏那さんの演奏はこちら