全日本弦楽コンクール

小学生高学年部門・小原海星さん

全日本弦楽コンクール2024小学生高学年の部で小学生高学年部門金賞、および最優秀賞を受賞したのは、現在中1の小原海星(おばら・あまと)さん。2歳よりヴァイオリンを始め、中1ですでに輝かしい音楽歴を持つ小原さんに今回受賞した喜びの声や将来の夢などについてお聴きしました。

ヴァイオリンを始めたばかりの頃

小原さんは、これまでにバーゼル国際ヴァイオリンコンクール2024 B部門第1位および特別審査員賞、2023 B部門第5位に入賞。第40回かながわ音楽コンクール ヴァイオリン部門最優秀賞、およびアマダ賞。StringAvenue2024 第1位及びコンチェルト賞。第16回、第17回「イタリアコンコルソMusicArte」Stella(ステッラ)部門 小学5・6年生の部 グランプレミオ大賞、Cultura(クルトゥーラ)部門小学5・6年生の部 金メダルを連続受賞。第45回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール 小学6年生の部第2位。第2回横浜国際ヴァイオリンコンクール C部門第3位。第5回印西国際音楽コンクール ヤングアーティスト部門金賞。第1回さいたま国際音楽コンクール ジュニア部門銀賞とここには書き切れないコンクール受賞歴を誇ります。また、N響名誉コンサートマスター篠崎史紀氏のマスタークラス、およびウィーン国立音楽大学教授イオアナ・クリスティーナ・ゴイチャ氏のマスタークラスにも選抜されています。

「小さいころから音楽好きで、街中で音楽が流れると楽しそうにしていました。聴いたメロディを覚えちゃうことも多かったんです。あごにはさみこむのが不思議だったようで、おもちゃのウクレレをあごに差し込んで遊んでいました」とお母様はおっしゃいます。

「今回のコンクールでの演奏した曲は、5歳くらいから好きで、憧れて弾きたかった曲でした。好きな曲なので、曲理解もしっかりできていて、曲への思い入れが強かった」と小原さんは言います。毎回、演奏がよくなっているわけではなく、たまに失敗します。今回もそこまで満足する演奏ではなかった。でもずっと弾いていて慣れているところがあります。練習しているときも、どんな音色を出したいか、どこをどう弾くか考えながら練習したことから良い演奏につながったと思います」。

8歳の頃、チェコでの演奏

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10歳の頃、コンクールに挑戦し始めた頃

受賞した時の感想を聞きすると、「正直、僕が最高位を受賞したと知り、最初は少し驚きました。でも、最高位をいただけてとてもうれしく、光栄に思います。演奏した曲はとても明るい元気な曲でメインフレーズがカッコいい!と思った曲です」と笑顔で答えてくれました。

今回参加した理由をお聞きすると、「去年、同じカテゴリーで銀賞をいただいたので、今年も挑戦してみたいと思い、出場することを決めました」とのこと。

「今回の優勝が次の演奏への意欲につながります。銀賞からのステップアップだから余計かな。ふだんの練習で振り返って反省点を反映することの積み重ねです」という小原さんですが、ふだんの練習についてお聞きすると、「家には防音室はないので夜遅くはできないので夕方から、夜は早めに切り上げます。集中してできるのはお休みの日。だいたい3~4時間を目標に練習しています。練習時間を確保するのがとても大変です。できるだけ演奏時間をつくっていますが、平日は1時間しか練習できない日もあります」と話してくれました。

ヴァイオリンの魅力を聞くと、「ヴァイオリンは、音色の種類が幅広いところが好きです。いろいろなテクニックを使うことで、様々なタイプの音色を出すことができるところが、小さい頃からこの楽器に魅了されている理由です。バラエティ豊かな弾き方が楽しい。悲しい音とか楽しい音とか、わんわん泣いている、静かな悲しみなどを弾き分けることが大変だけどその分おもしろいですね。旅先でも、ヴァイオリンを練習することがプレッシャーだったりするけれど、そこを乗り越えて練習することがスキルアップすると思っています。良い演奏ができると、やっぱり練習したかいがあったなと思います。いろいろあっても、本番ではヴァイオリンって楽しいなと思えます」。

まだ中学1年生ですが、将来についてお聞きしました。

「まだあまり将来の事は考えたことはないですが、音楽とはずっとこれからも一緒に生きていきたいと思っています。今はもっと上手に弾けるよう、がんばって練習していきたいと思います。観客の前で引いて聞いてもらうのが楽しいので、オーケストラに入って演奏したいなあとぼんやり思っています。ヴァイオリンの演奏で伝えたい気持ちや弾きながら感じていることが観客に伝わっているといいなと思います」と真剣な表情で話してくれました。

最後にコンクールにこれから挑戦しようとしている後輩へのメッセージをいただきました。「音楽をやっていることは、ほかの学校でやっていることとはちょっと違うから難しいけれど、練習を積み重ねて満足できる演奏ができた時はこれ以上幸せなことはないかなと思います」。

小原さんの話からは、ヴァイオリンに対する好きな気持ちがあふれていました。プレッシャーに負けずに、満足のいく演奏ができることを祈っています。

※文中の学年・年齢は、エントリー時のものです。
※インタビューは8月に行いました。

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